客っぷりを、
存分に楽しむ。

「日本人の叡智である神道には、『教え』がない。神道は日本人にとって『宗教』ではなく、『生活』だったんです。教えがない代りに『美しいか、美しくないかで判断する感性』を大切にすることが神道の本質なんです」と、ある神主は語ります。

西洋から「正しい、正しくない」という判断が入ってくるまでの日本人は、「美しい、美しくない」を価値基準にしてきました。

美とは絢爛豪華な様のことだけをいうわけではありません。感謝や礼節の心、季節の移ろいを感じ取る感性、相手を思いやる想像力など、豊かで繊細な心意気のことを指します。この各々の美意識が日本という長い歴史の日々を彩ってきたのです。

そして、この美意識こそが、生き方の美学としての西の雅、東の粋、茶道、華道、武士道などの「道」につながり、様々な日本の文化や芸術を生み出してきました。

茶道もまた、多くの芸術をも包括しながら、その美しき所作に現れる、日本人の美意識の真髄であり、「おもてなし」の心もまたその象徴です。

本来のおもてなしとは一方的なサービスではありません。お互いがプライドを持ってリスペクトし、おもてなしする方は客を想い 「よそおい」「しつらえ」「ふるまい」の中で最大限の仕立てをこらし迎え入れる。 おもてなしされる側は、その仕立ての中から相手の想いを汲み取り、態度で答える。この主客が互いの感性を織り成すコミュニケーションこそが“おもてなし”なのです。

昨今、とかく、おもてなす側のサービスばかりフューチャーされがちですが、そこには必ず、おもてなされる側の心意気としての「客っぷり」があってこと成り立つものです。この「客っぷり」こそ、誇り高き日本の美意識が成す真の「態度」ではないでしょうか。

わたしたちは、そんな「客っぷり」を存分に楽しんで頂き、日本人の美意識を再発見してもらうことをミッションとし、日本のイマを彩るアーティストたちとともに、形式的になりがちな日本の伝統文化を個のモチーフとしてだけではなく、日本の茶会という総合芸術をフレームに、刺激溢れる時代のど真ん中のおもてなしを、エンターテイメントに発信していきたいと思います。